クワガタムシは、何を食べて生きているのか。
その答えは、意外と見えにくい。
樹液に集まる姿はよく知られている。
だが、樹液そのものが、最初から甘い食べ物として存在しているわけではない。
クワガタムシの食事は、森の中で分解が進んだ場所と深く結びついている。
🪲 目次
🌳 1. 樹液という食べ物
クワガタムシの成虫は、主に樹液を食べる。
クヌギやコナラなど、樹液が出やすい木に集まることが多い。
ただし、樹液は最初から栄養価が高いわけではない。
傷ついた木からにじみ出た樹液は、時間とともに変化する。
- 新しい樹液:糖分が少なく、匂いも弱い
- 古い樹液:発酵が進み、匂いが強くなる
クワガタムシが好むのは、発酵が進んだ樹液だ。
甘さよりも、匂いが重要になる。
樹液は、森の中で自然に生まれる「途中の食べ物」だと言える。
🍎 2. 果実・落果を食べる
クワガタムシは、樹液だけに頼っているわけではない。
熟した果実や、地面に落ちた果実にも集まる。
- 食べられる果実:熟して柔らかくなったもの
- 条件:匂いが立ち、汁が出ている
果実もまた、発酵が始まることで食べ物になる。
生きた果実より、崩れ始めた果実のほうが利用されやすい。
クワガタムシは、森の中で「傷んだもの」を探している。
🦠 3. 発酵と微生物の役割
クワガタムシの食性を考えるとき、
微生物の存在を抜きにすることはできない。
樹液や果実は、菌や酵母によって分解・発酵される。
その過程で、栄養が取り込みやすくなる。
- 微生物:糖を分解し、匂いを生む
- 結果:クワガタムシが感知できる食べ物になる
つまりクワガタムシは、
自分で作った食べ物を食べているわけではない。
森の分解過程に乗っかって生きている昆虫だ。
🪵 4. 幼虫の食性 ― 朽木を食べるということ
幼虫の食べ物は、成虫とは大きく異なる。
朽木そのものと、そこに繁殖した菌類が主な栄養源だ。
- 朽木:硬い木ではなく、柔らかくなった部分
- 菌:木を分解し、栄養を変換する存在
幼虫は、朽木をかじりながら成長する。
だが実際に利用しているのは、木そのものより、菌の働きだと考えられている。
クワガタムシは、
森の中で「分解が進んだ場所」を食べ、体をつくる。
食性を見ると、クワガタムシは捕食者ではない。
循環の途中を担う存在だ。
🌙 詩的一行
クワガタムシは、森が崩れ始める場所を、食べ物として受け取っている。
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