モミジと聞いて思い浮かべる葉は、
細く裂け、星形に近い姿が多い。
だが、その連なりの中に、
ひときわ印象の違う葉を持つ木がある。
丸く、広く、うちわのような輪郭。
それが、ハウチワカエデだ。
この章では、
「丸さ」という特徴で区別されてきたハウチワカエデを見ていく。
【基礎情報】
- 分類:ムクロジ科・カエデ属
- 和名:ハウチワカエデ
- 学名:Acer japonicum
- 分布:日本(本州・四国・九州)
- 生育環境:山地の林内、やや湿った斜面
- 樹高:5〜10m程度
- 葉:大きく丸い、裂片は浅く幅広い
- 花:春、淡紅色〜黄緑色の小花
- 実:翼果、秋に成熟
- 紅葉:黄〜橙が中心、年により赤も混じる
- 見分けポイント:円に近い葉形、うちわ状の輪郭
🍁 目次
🍃 1. ハウチワカエデの位置づけ ― 形で分かる存在
ハウチワカエデは、
分類を知らなくても葉で見分けられるモミジだ。
同じカエデ属でも、
この種ほど円形に近い葉を持つものは少ない。
そのため、野外観察でも、
直感的に区別されてきた存在と言える。
🍂 2. 葉の特徴 ― 丸さが生む違い
葉は大きく、裂片は浅い。
切れ込みよりも、面の広さが目立つ。
この形は、
林内のやわらかな光を効率よく受け取る。
風を逃がす能力は高くないが、
風当たりの弱い環境で補われている。
🌲 3. 生育環境 ― 林内に適した姿
ハウチワカエデは、
直射日光の強い場所よりも、
林内や谷沿いでよく見られる。
湿り気があり、
空気が安定した場所で、
大きな葉が無理なく保たれる。
その姿は、
環境に合わせた結果として成立している。
🎨 4. 紅葉の傾向 ― やわらかな色合い
ハウチワカエデの紅葉は、
鮮烈な赤よりも、黄色や橙が主体になる。
大きな葉が一枚ずつ色づくことで、
全体として穏やかな景観が生まれる。
派手さはないが、
落ち着いた秋の色をつくる木だ。
🍁 詩的一行
ハウチワカエデは、丸い葉で、光を受け止めている。
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