春の花は目立たず、夏は葉に隠れ、秋には色に注目が集まる。
そのあいだで、モミジは静かに次の世代を準備している。
枝先に残る小さな実。
羽のような形をしたその構造は、遠くへ運ぶための設計だ。
モミジの実は、食べられるためでも、守られるためでもない。
風に乗り、場所を変えるために形づくられている。
この章では、
モミジの実と種がどのように作られ、運ばれるのかを見ていく。
🍁 目次
🌸 1. 花から実へ ― 受粉と結実
モミジの花は春に咲く。
葉の展開と同時期で、小さく、目立たない。
- 花:淡黄緑色の小花
- 受粉:風・昆虫の併用
- 特徴:装飾性より確実性
受粉が成功すると、子房が成長し、実が形成される。
この過程はゆっくり進み、夏から秋にかけて成熟する。
モミジは、
派手さを省き、数を確保する戦略を取っている。
🍃 2. 翼果という形 ― 回るための構造
モミジの実は、2つの翼を持つ翼果だ。
それぞれの翼に、1つずつ種子が入っている。
- 形:左右に広がる羽状
- 動き:落下時に回転
- 目的:落下速度を遅らせる
回転しながら落ちることで、
風の影響を受けやすくなり、移動距離が伸びる。
この形は、
重力を利用した移動装置と言える。
🌬 3. 風散布 ― 運ばれる距離
モミジの種子散布は、主に風に依存する。
風向きや強さによって、到達距離は大きく変わる。
- 弱風:親木の近くに落ちる
- 強風:数十メートル運ばれることも
- 条件:開けた環境で有利
すべてが遠くへ行く必要はない。
一部は親木の周囲に残り、一部が場所を変える。
この分散が、
環境変化への保険になる。
🌱 4. 発芽への条件 ― 落ちたあとの運命
地面に落ちた種が、すぐに芽を出すとは限らない。
多くは、冬の低温を経てから発芽する。
- 休眠:低温による解除が必要
- 発芽:春の気温上昇で開始
- 条件:適度な湿り気と光
発芽しても、生き残れる数は多くない。
乾燥、被陰、踏圧など、障害は多い。
それでもモミジは、
数と分散によって次の世代を残す。
🍁 詩的一行
モミジの種は、回りながら、次の場所を探している。
コメント