飛んでいるときより、
止まっているときのほうが、
強く印象に残るチョウがいる。
翅を閉じ、
枯葉や樹皮の前で静止した姿。
それが、タテハ類の特徴だ。
この回では、
特定の一種ではなく、
共通した生き方を持つ「タテハ類」として、
翅裏と季節の関係から整理していく。
🧾 基礎情報
- 分類:昆虫綱/チョウ目/タテハチョウ科
- 和名:タテハ類(総称)
- 学名:Nymphalidae
- 英名:Brush-footed butterflies
- 分布:日本全土、世界各地
- 生息環境:森林、林縁、里山、公園
- 出現時期:種により異なる(通年〜季節性)
- 世代数:種により異なる
- 越冬:成虫越冬が多い(例外あり)
- 大きさ:中型〜大型(種差大)
- 成虫の食性:樹液、腐果、花蜜
- 幼虫の食草:多様(イラクサ科・スミレ科など)
- 見分けポイント:前脚が短く歩行に使わない
- 保全:種により状況差あり
🦋 目次
🦋 1. タテハ類という存在
タテハチョウ科に属するチョウは、
種類数が多く、姿も多様だ。
それでも共通しているのは、
前脚が短く、
歩行にほとんど使われない点だ。
この特徴から、
英語では「ブラシフット」と呼ばれる。
飛翔力があり、
森林環境を縦横に使うチョウが多い。
🍂 2. 翅裏に隠された役割
タテハ類の翅裏は、
表とはまったく異なる表情を持つ。
表が鮮やかな種でも、
翅裏は枯葉や樹皮に似た色合いになる。
- 役割:擬態・隠蔽
- 場面:休息・越冬
- 効果:捕食者からの回避
翅を閉じることで、
一瞬で「別のもの」になる。
この切り替えが、
タテハ類の生存率を高めている。
❄️ 3. 季節をまたぐ生き方
多くのタテハ類は、
成虫で冬を越す。
そのため、
春先に見られる個体は、
前年から生き延びた存在だ。
越冬中は、
洞や落ち葉の下、
建物の隙間などで静止する。
翅裏の色と質感は、
越冬という時間に適応した結果でもある。
🌳 4. 林と人里のあいだで
タテハ類は、
完全な森の奥ではなく、
林縁や人里近くでよく見られる。
幼虫の食草は多様で、
身近な植物を利用する種も多い。
人の暮らしと、
自然の境界にできた環境が、
タテハ類の生活空間になっている。
🌞 詩的一行
タテハは、閉じた翅の中に、季節を隠している。
コメント