黒い翅が、低く、重たく空を切る。
クロアゲハの飛翔は、軽やかというより、
存在感そのものだ。
庭木の間、林縁の影、夕方に近い時間帯。
クロアゲハは、
ナミアゲハやキアゲハとは少し違う時間と場所を使って生きている。
この回では、
クロアゲハを「黒い大型種」としてではなく、
環境の中での役割と暮らし方から見ていく。
🧾 基礎情報
- 分類:昆虫綱/チョウ目/アゲハチョウ科
- 和名:クロアゲハ
- 学名:Papilio protenor
- 英名:Spangle
- 分布:日本全土、東アジア
- 生息環境:里山、林縁、住宅地の緑
- 出現時期:5〜9月
- 世代数:年2〜3回(多化性)
- 越冬:蛹
- 大きさ:開張90〜120mm(目安)
- 成虫の食性:花蜜、樹液
- 幼虫の食草:ミカン科(ミカン、サンショウ、カラタチなど)
- 見分けポイント:全体に黒い翅と青い光沢
- 保全:現状安定(都市部では減少傾向あり)
🦋 目次
🦋 1. クロアゲハという存在
クロアゲハは、日本のアゲハチョウ類の中でも、
ひときわ大きく、重厚な印象を持つ。
黒を基調とした翅は、
一見すると地味だが、
光の角度によって青や紫の光沢を帯びる。
派手さではなく、
存在の強さで目に残るチョウだ。
🌳 2. 林縁を使う大型チョウ
クロアゲハは、
完全な草地よりも、
樹木のある環境を好む。
- 場所:林縁、庭木の多い住宅地
- 時間帯:日中〜夕方
- 行動:低く安定した飛翔
広い翅を活かし、
風の弱い場所を選んで移動する。
林と人の暮らしの境界は、
クロアゲハにとって、
使いやすい空間になっている。
🐛 3. 幼虫とミカン科植物
クロアゲハの幼虫は、
ナミアゲハと同じく、
ミカン科植物を食草とする。
しかし、
樹木性のミカン科を利用することが多く、
庭木や生け垣で見られることが多い。
若齢幼虫は鳥の糞に似た姿を持ち、
成長すると緑色の体に変わる。
この変化は、
捕食者の目をずらすための段階的な戦略だ。
🪽 4. 黒い翅の意味
クロアゲハの黒い翅は、
単なる色ではない。
黒は、熱を吸収しやすく、
体温を上げやすい。
大型種であるクロアゲハにとって、
活動開始を助ける色でもある。
また、光沢のある黒は、
背景によって印象が変わり、
輪郭をつかみにくくする効果もある。
クロアゲハは、
力で目立つのではなく、
色の性質を使って生きている。
🌞 詩的一行
クロアゲハは、影の深さに合わせて、羽ばたきを選んでいる。
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