🦠 カビ14:ムコール属 ― 食品に現れる白い綿 ―

カビシリーズ
  • 分類:菌界/ケカビ門(接合菌類)/ムコール綱/ムコール目/ムコール科/ムコール属
  • 和名:ケカビ属 など
  • 学名:Mucor spp.
  • タイプ:糸状菌(カビ)
  • 分布:世界中
  • 主な生息環境:食品、土壌、植物残渣
  • 栄養様式:主に腐生
  • 増殖:無性胞子(胞子嚢胞子)/有性生殖(接合胞子)
  • 代表的な見え方:白色〜灰色の綿毛状コロニー
  • 人との関わり:食品変敗、発酵文化(地域的)
  • 備考:初期は白く、時間とともに色調が変化する

ムコール属は、
食品の表面に、白い綿のような姿で現れることが多い。

パン、果物、調理済みの食材。
やわらかい素材の上で、
一気に広がる。

その見た目は、
「まだ大丈夫そう」にも、
「もう手遅れ」にも見える。

ムコールは、
変化の途中を可視化するカビだ。

🦠 目次

⚪ 1. 白い綿毛 ― 初期コロニーの姿

ムコール属は、発生初期に白く見える。
これは、胞子ではなく、
菌糸そのものが表面を覆うためだ。

  • 初期:白色・ふわふわした質感
  • 進行:胞子形成で色調変化
  • 視認性:早期から目につく

粉状ではなく、
綿のように立ち上がる点が、
他のカビとの違いになる。

🧵 2. 構造の特徴 ― 隔壁をもたない菌糸

ムコール属の菌糸は、
隔壁(仕切り)がほとんどない

これは、
子嚢菌類の多くとは異なる点だ。

  • 菌糸:多核・隔壁なし
  • 成長:非常に速い
  • 結果:短時間で面を覆う

この構造が、
ムコールの「一気に広がる」印象をつくっている。

🍞 3. 食品との関係 ― 早く広がる理由

ムコール属は、
水分を多く含む食品でよく見られる。

やわらかく、
分解しやすい基質では、
菌糸が抵抗なく伸びる。

  • 好む条件:高湿度・栄養豊富
  • 対象:パン、果物、調理食品
  • 結果:短期間で全面に広がる

ムコールは、
競争に強いというより、
先に広がる戦略を取っている。

🔍 4. 原始的な系統としての位置

ムコール属は、
菌類の中でも比較的初期に分岐した系統に属する。

接合胞子を形成する有性生殖は、
菌類進化の古い形を残している。

複雑さではなく、
速さと単純さを武器にしてきたカビだ。

🫧 詩的一行

ムコールは、白く広がり、変化の始まりを知らせる。

🦠→ 次の記事へ(カビ15:コウジカビ)
前の記事へ(カビ13:ペニシリウム属)
🦠→ カビシリーズ一覧へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました