カビは、形を持たないように見える。
けれど、その内側には、はっきりとした「体のしくみ」がある。
手で触れられず、輪郭も曖昧。
それでもカビは、無秩序に広がっているわけではない。
増えるための構造が、静かに組み上げられている。
カビの体は、動物のような器官を持たない。
骨も、筋肉も、内臓もない。
その代わりに、伸びることそのものが体になる。
菌糸が広がり、条件が整うと胞子がつくられる。
この単純な仕組みが、カビを世界中に行き渡らせてきた。
🦠 目次
🧵 1. 菌糸という体 ― 伸び続ける構造
カビの基本単位は、菌糸と呼ばれる細い糸状の構造だ。
菌糸は、先端部分が伸び続けることで、体を大きくしていく。
- 形:糸状で非常に細い
- 成長:先端成長
- 特徴:分岐しながら広がる
菌糸は移動しない。
歩くことも、飛ぶこともない。
伸びることで場所を占める。
この成長様式は、一定方向へ進むのではなく、
環境に触れながら、面を探るように広がっていく。
🫧 2. 菌糸体 ― 面を占める生き方
多数の菌糸が集まった状態を、菌糸体という。
私たちが目にするカビの斑点や膜状の広がりは、
この菌糸体の一部だ。
- 役割:栄養の吸収
- 広がり方:面状・立体的
- 存在:基質の表面や内部
菌糸体は、表面だけにあるとは限らない。
木材や食品の内部にも入り込み、
外からは見えない部分で広がることも多い。
見えているカビは、全体のごく一部にすぎない。
🌬️ 3. 胞子 ― 広がるための単位
菌糸体が十分に広がると、カビは胞子をつくる。
胞子は、次の場所へ広がるための単位だ。
- 大きさ:非常に小さい
- 役割:分散・生存
- 移動:風・水・接触による
胞子は、すぐに成長するとは限らない。
条件が合わなければ、そのまま留まり続ける。
生き延びるための余地として、
胞子は環境の変化を待つ。
⏳ 4. 増え方と休眠 ― 止まるという選択
カビの増殖は、常に進み続けるわけではない。
乾燥や低温など、条件が悪くなると、活動を弱める。
- 好条件:菌糸の伸長
- 不利条件:休眠状態
- 再開:条件回復後
休眠は、失敗ではない。
次の機会を待つための戦略だ。
増えることと、止まること。
この切り替えが、カビを長く存続させてきた。
🫧 詩的一行
カビは、伸びることで体をつくり、止まることで次へつながる。
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