春になると、海の使われ方が変わる。
水温がゆっくりと上がり、
底にいた魚たちが、少しずつ動き始める。
タイにとって春は、次の世代へ渡す時間だ。
派手な行動は少ないが、
海の中では確かな変化が進んでいる。
この章では、タイがどのように繁殖し、
どんな場所と条件を選んで産卵しているのかを、
季節の流れとともに見ていく。
🐟 目次
🌸 1. 繁殖期はいつ訪れるのか
多くのタイ類では、繁殖期は春から初夏にかけて訪れる。
水温の上昇が、体内の変化を促す。
- 主な時期:春〜初夏
- 条件:水温・日照時間の変化
この時期、体には卵や精子が成熟し、
行動範囲や群れのまとまり方にも変化が出る。
とはいえ、タイは目立つ求愛行動をほとんど行わない。
静かな準備が、海の中で進んでいく。
🌊 2. 産卵の場所 ― 浅場と沖合のあいだ
タイは、極端に浅い場所や深海では産卵しない。
選ばれるのは、水深に余裕のある沿岸から沖合だ。
- 水深:数十メートル前後
- 環境:潮通しがよく、卵が拡散しやすい
卵は浮性卵で、水中を漂う。
潮に乗って分散することで、
一か所に集中するリスクを避けている。
🐟 3. 産卵のしくみ ― 卵を放つという方法
タイの繁殖は、体外受精だ。
雌が卵を放ち、雄が精子を放出する。
親が卵を守ることはない。
だがその代わり、
一度に多くの卵を産む。
- 卵:非常に小さく、数が多い
- 保護:行わない
守らない代わりに、
環境に委ねる。
それが、タイの選んだ方法だ。
📈 4. 数を残す戦略
漂う卵の多くは、捕食されたり、
条件に合わず命を落とす。
それでも、数を増やすことで、
一部が次の段階へ進む。
タイは、確実さを求めない。
続く可能性を広く残すことを選んでいる。
この戦略は、
環境変化の激しい海において、
長く通用してきた。
🌊 詩的一行
タイは、春の海にすべてを託し、次の姿を静かに待っている。
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