夜の畑の上を、静かに影が通り過ぎる。
作物に触れることもなく、
人の目にもほとんど映らないまま。
だがその影は、
農業と切り離せない役割を担っている。
この章では、コウモリが害虫を食べる存在として、 どのように人の生産活動を支えてきたかを見ていく。
🦇 目次
🌾 1. 夜に働く捕食者 ― 昆虫を食べる力
多くのコウモリは、昆虫を主な餌としている。
活動の中心は、日没後から夜半。
これは、農業害虫の活動時間と重なる。
ガ類、カ類、甲虫類。
作物を食害する昆虫の多くは、夜に動く。
コウモリは、
農薬を使わずに害虫を減らす捕食者として、 自然の中で機能してきた。
🦟 2. 害虫との関係 ― 数を抑える役割
コウモリは、特定の昆虫だけを狙うわけではない。
空を飛ぶ昆虫を、継続的に捕食する。
- 特徴:一晩に体重近くの昆虫を食べる例
- 効果:個体数の急増を防ぐ
- 結果:被害の緩和
重要なのは、 完全に排除するのではなく、 増えすぎない状態を保つ点だ。
これは、長期的な農業と相性がいい。
🚜 3. 農業にとっての価値 ― 見えない貢献
海外では、コウモリによる害虫抑制が、 経済的価値として評価されている地域もある。
農薬の使用量が減れば、 コストだけでなく、 土壌や水への負担も減る。
コウモリは、
農業の外側にいる存在ではない。
夜間に働く、 もうひとつの労働力だ。
⚠️ 4. 失われると何が起きるか
もしコウモリが減れば、 夜行性昆虫は増えやすくなる。
その結果、 農薬への依存が強まり、 悪循環が生じる可能性がある。
- 原因:ねぐらの消失・誤解による排除
- 影響:害虫増加・管理コスト増
- 問題:短期対策への偏り
コウモリは、 失ってから価値に気づかれやすい存在でもある。
🌙 詩的一行
コウモリは、畑の上で、何も言わずに夜を働いている。
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