干潟にいる二枚貝は、すべて昔からそこにいたわけではない。
人の移動、物流、海を越える船。その流れの中で、外来の二枚貝が日本の海に入り込み、定着してきた。アサリの暮らす干潟も、その影響を受けている。
外来種は、単なる「よそ者」ではない。環境や人の活動と結びつきながら、関係の中で存在している。
【基礎情報】
- 代表的外来種:ホンビノスガイ(ほか複数種)
- 学名(例):Mercenaria mercenaria
- 分類:二枚貝綱/マルスダレガイ目 ほか
- 原産:北米東岸
- 分布:東京湾など日本各地に定着
- 生息環境:浅海・干潟の砂底
- 大きさ:殻長10cm前後に達する個体も
- 食性:濾過摂食
- 定着要因:船舶・人為的移動
- 在来種との関係:競合・棲み分け・混獲
- 人との関係:食用・漁業資源
🦪 目次
🚢 1. 外来二枚貝とは何か
外来二枚貝とは、本来その海域に分布していなかったが、人の活動によって持ち込まれ、定着した貝を指す。
- 船舶のバラスト水
- 養殖資材への付着
- 人為的放流や移植
これらは意図的でない場合が多く、気づかないうちに分布を広げてきた。
🐚 2. ホンビノスガイという存在
ホンビノスガイは、近年日本でよく知られるようになった外来二枚貝だ。大型で殻が厚く、存在感がある。
- アサリよりはるかに大型
- 砂底に深く潜る
- 成長が早い
見た目も生き方も異なるが、同じ濾過摂食者として、同じ環境を利用している。
🌊 3. 在来アサリとの関係
外来二枚貝が増えることで、在来のアサリと資源を共有する場面が生まれる。
- 餌となる有機物の共有
- 生息場所の重なり
- 漁での混獲
必ずしも単純な排除関係ではなく、場所によっては棲み分けも見られる。
⚖️ 4. 問題と利用のあいだ
外来種は、生態系への影響が懸念される一方、食用資源として利用されることもある。
- 在来種保全の課題
- 新たな漁業資源
- 管理と共存の必要性
排除か利用かではなく、現実的な関係の中で向き合う必要がある。
🌙 詩的一行
海を越えた殻も、同じ水を通して生きている。
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