エビは、じっとしているように見える時間が長い。岩の下、砂の中、物陰に身を寄せ、動かないまま過ごすことも多い。
だが、それは活動していないという意味ではない。周囲の水の流れ、わずかな振動、匂いの変化を感じ取りながら、動くタイミングを待っている。
歩くこと、泳ぐこと、隠れること。エビの行動は派手ではないが、環境に合わせて選び取られてきた結果だ。
ここでは、エビがどのように動き、どのように周囲を感じ取っているのかを見ていく。
🦐 目次
🚶 1. 歩くという行動 ― 海底での移動
多くの海のエビは、泳ぐよりも歩く時間のほうが長い。海底の砂や岩の上を、脚を使ってゆっくりと移動する。
- 移動:歩脚による歩行
- 場所:砂底・泥底・岩礁
- 特徴:目立たず移動する
歩行は、餌を探したり、隠れ場所を探したりするための基本的な行動だ。体を低く保つことで、外敵に見つかりにくくなる。
この慎重な動きが、捕食されやすい体を持つエビの生存率を高めている。
🏊 2. 泳ぐという選択 ― 逃げるための動き
エビが泳ぐのは、主に危険を感じたときだ。
- 方法:腹部を曲げて跳ねる
- 方向:後方へ瞬間的に移動
- 目的:捕食者からの回避
腹部を素早く曲げ伸ばしすることで、水を押し出し、一気に距離を取る。この動きは短時間だが、非常に効果的だ。
長距離を泳ぐよりも、危険な瞬間だけ使う。この使い分けが、エビの行動の特徴でもある。
🌙 3. 夜に動く ― 夜行性という戦略
多くのエビは夜行性である。日中は隠れ、暗くなってから活動する。
- 活動時間:夜間
- 理由:捕食者を避ける
- 利点:餌を見つけやすい
夜は視覚に頼る捕食者が減り、エビにとって安全な時間帯となる。暗闇の中では、触角や化学感覚が重要になる。
夜行性は、派手な能力ではなく、時間をずらすことで生き延びる戦略だ。
👂 4. 感覚の使い方 ― 振動と匂いを読む
エビは、周囲の変化を主に感覚器で捉えている。
- 触角:接触・化学物質の検知
- 感覚毛:水の振動を感知
- 視覚:補助的な役割
水中では、音や振動が伝わりやすい。エビはそれを利用し、近づく生き物や環境の変化を察知する。
見えなくても分かる。この感覚の使い方が、夜の海底での生活を可能にしている。
🌙 詩的一行
暗くなってから、静かに世界が動き出す。
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