エビの体は、外から見ると単純に見える。細長い胴体に脚が並び、硬い殻に覆われている。
だが、その形は偶然ではない。歩くこと、泳ぐこと、隠れること、餌を扱うこと。そのすべてに対応するために、エビの体は細かく役割分担されている。
殻は守りであり、脚は移動手段であり、触角は周囲を探るための器官だ。それぞれが独立しながら、ひとつの体として機能している。
ここでは、エビの体を部位ごとに見ていく。
🦐 目次
🧱 1. 外骨格 ― 殻で体を支えるしくみ
エビの体は、骨の代わりに外骨格と呼ばれる殻で覆われている。この殻はキチン質を主成分とし、体を外側から支える役割を持つ。
- 素材:キチン質
- 役割:防御・支持
- 特徴:硬いが成長しない
外骨格は外敵から身を守る一方で、体の成長を妨げる。そのため、エビは一定の成長段階ごとに脱皮を行い、新しい殻を作り直す。
殻は単なる鎧ではなく、筋肉の付着点でもあり、体の動きを可能にする構造でもある。
🦵 2. 脚の役割 ― 歩く脚と泳ぐ脚
エビの脚は、すべて同じように見えて、役割が分かれている。
- 歩脚:海底を移動する
- 遊泳脚:泳ぐ・水流を起こす
- 顎脚:餌を口へ運ぶ
前方の脚は歩行や餌の操作に使われ、後方の脚は遊泳や姿勢の維持を担う。
この分業によって、エビは歩きながら餌を探し、必要に応じて泳いで逃げることができる。
👁 3. 触角と感覚 ― 見えない世界を探る
エビには長い触角があり、周囲の環境を探るために使われている。
- 触角:2対
- 役割:感触・化学物質の検知
- 視覚:複眼を持つ
水中では視界が限られるため、触角は重要な感覚器となる。餌や仲間、危険の存在を、触覚や化学的な刺激で感知する。
視覚は補助的な役割にとどまり、特に夜行性の種では触角の重要性が高い。
🔁 4. 体の分業 ― 頭胸部と腹部
エビの体は、大きく頭胸部と腹部に分かれる。
- 頭胸部:感覚・摂食・防御
- 腹部:遊泳・推進
腹部を素早く曲げ伸ばしすることで、後方へ跳ねるように移動できる。この動きは、危険から逃げる際に使われる。
体の各部位が役割を分担することで、エビは限られた体の中で多くの機能を成立させている。
🌙 詩的一行
硬い殻の内側で、細かな役割が静かに動いている。
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