🦐 エビ（海）2：分類と進化 ― エビ・カニ・シャコの分かれ道 ―

海の中には、よく似た姿の甲殻類が多くいる。エビ、カニ、ヤドカリ、シャコ。見た目や呼び名は違っても、どこか共通した輪郭を持っている。

それは、彼らが同じ系統から分かれてきた生き物だからだ。エビは単独で存在しているのではなく、甲殻類という大きなまとまりの中で、特定の形を選び取ってきた。

ここでは、エビがどこから来て、どこで分かれ、なぜ今の姿になったのかを整理していく。

🦐 目次

エビは、節足動物門・甲殻亜門に属する。これは、昆虫やクモと同じ「節足動物」の仲間であり、体に節があり、硬い外骨格を持つ生き物の集まりだ。

甲殻類はもともと水中生活に適応したグループで、呼吸や移動、感覚器の多くが水中向けに発達してきた。

エビはその中でも、遊泳と歩行を併せ持つ系統として進化してきた存在だ。

エビとカニは、ともに「十脚目」に属する。名前の通り、基本的に10本の脚を持つ仲間である。

エビは腹部がよく発達し、体をまっすぐに伸ばした形を保つ。一方、カニは進化の過程で腹部が縮まり、体の下に折りたたまれるようになった。

この違いは、歩行中心か、遊泳も含めた移動かという生活様式の差を反映している。

見た目が似ているため混同されがちだが、シャコはエビとは別の系統に属する。

シャコは捕脚が極端に発達し、強打や突き刺しに特化した進化を遂げている。一方、エビは複数の脚を使い、移動・摂食・防御を分担する方向に進化してきた。

同じ甲殻類でも、進化の選択肢は大きく分かれている。

エビの細長い体と柔軟な腹部は、海底での生活に適している。

この「エビ型」は、特定の場所に特化しすぎず、広い環境に対応できる形だった。そのため、浅海から深海まで、多くの種が生まれる結果につながった。

エビの多様性は、進化の柔軟さの証でもある。

分かれ道の先で、細長い体は海に残った。