🐙 タコ6:捕食と食性 ― 罠・毒・分解の戦略 ―

タコは、速く泳ぐ捕食者ではない。

鋭い歯も、強い顎も持たず、獲物を追い回すこともしない。それでもタコは、確実に餌を得てきた。

待ち、近づき、つかみ、分解する。タコの捕食は、力ではなく工程で成り立っている。

🐙 目次

🪨 1. 待ち伏せる捕食者 ― 動かない戦略

タコの基本的な捕食方法は、待ち伏せである。

  • 姿勢:岩や砂に溶け込む
  • 動き:最小限
  • 機会:近づく獲物を待つ

魚や甲殻類が射程に入った瞬間、タコは一気に腕を伸ばす。普段の静けさと、捕食時の動きの差が大きい。

この方法は、エネルギー消費を抑える点でも有利だ。

🦾 2. 腕と吸盤 ― 逃がさない仕組み

獲物を捕らえた後、重要なのは逃がさないことだ。

  • 腕:複数方向から包み込む
  • 吸盤:強力な吸着
  • 操作:獲物の動きを制限

吸盤は単に吸いつくだけでなく、獲物の位置を細かく感じ取る役割も果たす。

視覚と触覚を同時に使うことで、確実な捕獲が可能になる。

🧪 3. 毒と唾液 ― 抵抗を止める方法

多くのタコは、唾液に毒性成分を含んでいる。

  • 作用:麻痺・衰弱
  • 注入:噛みついて送り込む
  • 対象:甲殻類・貝類など

特に硬い殻を持つ獲物に対しては、毒で動きを止めてから食べ始める。

力で壊すのではなく、機能を止める。それがタコのやり方だ。

🐚 4. 分解して食べる ― タコの食事法

タコは、獲物を丸のみすることはほとんどない。

  • 口:硬いくちばし状
  • 消化:外部消化を併用
  • 対象:貝・カニ・魚

貝類の場合、殻に穴を開け、消化液を注入して中身を溶かすこともある。

獲物を「壊す」のではなく、「ほどいて食べる」。タコの食性は、体の構造に即したものだ。

🌙 詩的一行

急がず、無駄を出さず、確実に取り込んできた。

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