タケは、守るべき存在なのか、抑えるべき存在なのか。その問いは、これまで何度も繰り返されてきた。
しかし実際には、タケはただ生き方を続けているだけだ。問題が生まれるのは、タケと人との距離が極端に近づいたり、逆に離れすぎたりしたときである。
この回では、竹を生態系の一部として捉え直し、保全・管理・利用をどう結び直せるのかを整理する。
🎐目次
🌿 1. 生態系の中の竹 ― 役割と影響
竹は、生態系の中で明確な役割を持つ。
- 更新:裸地や撹乱地を素早く覆う。
- 循環:大量の有機物を供給。
- 調整:風・水・温度の緩和。
一方で、拡大しすぎれば多様性を下げる。竹は「良い」「悪い」で語れる存在ではなく、影響の幅が大きい植物だ。
🌱 2. 保全という考え方 ― 残すべき場所
すべての竹林を排除する必要はない。
- 自然林:ササ類を含む安定した植生。
- 文化景観:管理された里山竹林。
- 境界帯:人と森の緩衝地。
残すべき竹林は、「役割を果たしている場所」にある。見た目の広さではなく、機能で判断する視点が必要だ。
🏞️ 3. 管理という行為 ― 手を入れる意味
管理は、抑え込むことではない。
- 間引き:光と空間を戻す。
- 境界管理:拡大の制御。
- 更新:若い稈への入れ替え。
適度な管理は、竹林の健全さを保つ。完全な放置と過剰な排除、そのどちらでもない中間が求められている。
🔎 4. 利用の再設計 ― 使いながら続ける
竹は、使われてきた植物だ。
- 素材:建材・燃料・チップ。
- 食:タケノコ。
- 循環:切っても再生。
新しい技術だけでなく、古い利用法の見直しも含めて、竹との関係は再設計できる。使うことが、管理につながる可能性は残っている。
🌙 詩的一行
竹は、置かれた場所で役目を変え続ける。
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