🍋 レモン7:病害虫とレモン ― グリーニング病とその対策 ―

レモンの樹は強い日差しや乾燥にはよく耐えるが、病害虫には繊細な一面をもっている。とくに「グリーニング病(HLB)」として知られる病気は、世界の柑橘農家を脅かす深刻な問題で、レモンも例外ではない。

病気や害虫は、樹の勢いが弱ったときに発生しやすい。逆にいえば、健康な樹づくりこそが最大の予防策だ。ここでは、レモンが直面しやすい代表的な病害虫と、その対策をわかりやすくまとめる。

🍋目次

🦟 1. グリーニング病(HLB) ― 柑橘類最大の脅威

グリーニング病は、ミカンキジラミという小さな虫が媒介する細菌性の病気で、世界中の柑橘類に深刻な被害をもたらしている。感染すると治療が難しく、果実が変形し、樹全体が衰弱してしまう。

  • 原因:リベリア菌(Candidatus Liberibacter)と呼ばれる細菌
  • 媒介虫:ミカンキジラミが樹液を吸う際に細菌を広げる
  • 主な症状:葉の黄化、枝枯れ、果実の変形・未熟落果
  • 決定的な治療法:現状はなく、感染枝の除去や防除が基本

最も重要なのは「予防」。苗の購入時に信頼できる生産者を選ぶことが、家庭栽培では大きな防御になる。

🌫 2. 黒点病・かいよう病 ― 果皮を傷つける病気

レモンの果皮は病気に敏感で、雨が多い年や風通しが悪い環境では病害が発生しやすい。

  • 黒点病:茶色い小さな斑点が広がり、果皮がざらつく
  • かいよう病:風雨による傷口から侵入し、膨れた傷痕ができる
  • 発生条件:湿度が高い・風通しが悪い・枝葉が混み合っている
  • 対策:剪定で風通しを改善し、雨の多い季節は防除を行う

これらの病気は見た目が悪くなるだけでなく、果実の品質そのものも落ちてしまうため、早めの予防が鍵となる。

🐛 3. アゲハ幼虫・ハダニ・カイガラムシ ― 代表的な害虫たち

レモンの木にはさまざまな虫がやってくるが、被害を与える種類には特徴がある。

  • アゲハチョウの幼虫:若葉を好んで食べ、被害が大きい場合は葉を丸裸にしてしまう
  • ハダニ:乾燥時に発生しやすく、葉裏に寄生して吸汁し葉が弱る
  • カイガラムシ:枝に張りつき樹液を吸い、すす病の原因になる
  • アブラムシ:新芽に群生し、病気の媒介にもなる

害虫の多くは葉の裏や枝の陰に潜むため、こまめな観察が何よりの対策になる。

🛡 4. 病害虫を防ぐ環境管理 ― 健全な樹をつくる習慣

病害虫の多くは、環境の乱れや樹勢の低下が引き金になる。日頃の管理で、大半のトラブルは避けることができる。

  • 風通しの確保:剪定で枝を整理し、湿気をためない
  • 落ち葉の処理:病原菌や虫の温床になりやすいため、こまめに清掃
  • 適度な水やり:過湿も乾燥も病害虫を招きやすい
  • 健全な土づくり:栄養バランスの良い土は樹を強くする
  • 苗の選定:病気の持ち込みを避けるため、信頼できる苗木店を利用

健康なレモンの樹は、病気にも害虫にも負けにくい。日々の観察が、最も確実な防除法だ。

🌙 詩的一行

葉陰の小さな気配に気づくたび、樹は静かに守りを固めていく。

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