🌽トウモロコシ11：生育ステージ ― 発芽・成長・開花・登熟 ―

畑に種をまいた瞬間から、トウモロコシの一生は静かに始まる。土の中で水を吸い、根を伸ばし、葉を開き、やがて空へ向かって茎を伸ばしていく。その過程は段階ごとに明確な特徴を持ち、ひとつひとつのステージが次の成長を左右している。

春の発芽から夏の開花、そして秋の登熟まで。トウモロコシの生涯は短くとも濃密で、その積み重ねによってあの大きな穂が生まれる。ここでは、生育の流れを時間とともに追っていく。

🌽目次

トウモロコシの種子は、適度な温度と水分を得るとすぐに発芽を始める。まず最初に動くのは根（幼根）だ。

この時期の環境が悪いと、その後の成長に大きく影響するため非常に重要な段階だ。

根が安定すると、次に地上へ向かう芽（幼芽）が伸びてくる。やがて最初の葉が開き、光を受けて成長が加速する。

この段階が順調であれば、その後の生育ステージも安定して進む。

春から初夏にかけての成長がもっとも旺盛で、トウモロコシが“草原植物らしさ”を発揮する時期だ。茎と葉が急速に増え、畑の姿が大きく変わっていく。

このステージは、光合成の“貯金”をもっとも多くつくる期間で、後の穂の大きさにも影響する。

茎と葉が十分に育つと、内部で穂の準備が進み、やがて雄穂と雌穂が形成される。

このタイミングが合わないと、粒の揃いに影響が出るため、栄養成長期からの連続した管理が重要となる。

受粉が終わると、粒は内部で糖を蓄え、やがてデンプンへと変化していく。トウモロコシの“実り”をつくるもっとも大切なステージだ。

この時期の水分管理や高温ストレス対策は、収量と品質に直結する。

春の小さな芽が、季節を重ねてやがて大きな穂へ続いていった。