【基礎情報】
- 分類:ウシ科 / Bos taurus(肉用種)
- 体長:約 220〜240 cm
- 体重:雌 500〜600 kg / 雄 700〜900 kg
- 原産地:岩手県を中心とした東北地方
- 用途:肉用(和牛四品種の一つ)
- 特徴:赤褐色の体色・短い角・放牧向き・脂控えめの赤身肉。冷涼な気候に強く、山地での広域放牧文化と深く結びつく。
― 冷たい風が吹く北国の草地に、赤い体がゆっくりと揺れる。日本短角種は、東北の山地で古くから人と共に暮らしてきた「放牧の牛」だ。黒毛和種の霜降りとは対照的に、短角は自然の草で育つ赤身肉の旨味を大切にする風土から生まれた。
ここでは、日本短角種の背景、体の特徴、生態的な気質、そして東北の放牧文化との深い関わりを見ていく。
🐄目次
- 🍁 1. 歴史と背景 ― 東北の山で育った在来の血
- 🦬 2. 体の特徴 ― 赤褐色の毛と短い角
- 🐮 3. 生態・気質 ― 放牧に向いた丈夫さ
- 🥩 4. 人との関係・文化 ― 赤身の旨味と放牧文化
- 🌙 詩的一行
🍁 1. 歴史と背景 ― 東北の山で育った在来の血
日本短角種は、東北地方で古くから飼われていた在来牛に、外国種(ショートホーン)を交配して改良した品種だ。
- 在来牛の起源:東北の農耕や運搬を支えた役牛の系譜
- 改良の歴史:20世紀前半、寒冷地に強い肉牛として確立
- 和牛四品種の一つ:黒毛和種・褐毛和種・無角和種と並ぶ品種
厳しい気候と山地の生活に適応した“北国の牛”である。
🦬 2. 体の特徴 ― 赤褐色の毛と短い角
日本短角種は、北の自然に適応した強い体を持っている。
- 赤褐色の毛:褐毛和種よりやや濃い、深みのある赤色
- 短い角:扱いやすく、放牧にも安全
- 筋肉質で丈夫:山地を歩き続けられる強い脚
- 健康的な赤身肉:脂が少なく、噛むほど旨味が出る
自然の草を活かす飼育に適した、シンプルかつ力強い体つきだ。
🐮 3. 生態・気質 ― 放牧に向いた丈夫さ
日本短角種は、放牧に非常に向いている品種として知られる。
- 寒さに強い:東北の冬にも耐える体質
- よく歩く:山地でも安定して移動できる
- 温厚な性格:扱いやすく、群れも乱れにくい
行動・体質・性格すべてが“放牧前提の牛”と言ってよい。
🥩 4. 人との関係・文化 ― 赤身の旨味と放牧文化
日本短角種は、東北の自然と食文化を象徴する品種だ。
- 赤身文化との結びつき:旨味の濃い赤身を好む地域性
- 夏山冬里方式:夏は山で放牧、冬は里で管理する伝統的飼育法
- 希少価値:飼育頭数が少なく、全国的にも貴重な存在
自然の草と土地の知恵が、短角牛の味にそのまま現れている。
🌙 詩的一行
北風に揺れる草の上で、赤い影だけが静かに息づいていた。
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