🧩 はじめに
夜の海で光を反射する大きな瞳。
それが**メアジ(眼鯵)**の名の由来です。
日中は深い場所に潜み、夜になると表層へと上がってくる――
まるで夜の海を支配する小さなハンターのような存在です。
この記事では、メアジの特徴、生態、マアジとの違いを中心に紹介します。
📖 基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
学名 | Decapterus macarellus |
英名 | Mackerel scad |
分類 | スズキ目 アジ科 ムロアジ属 |
分布 | 日本各地の沿岸〜外洋、世界の温帯〜熱帯海域 |
体長 | 約25〜35cm(最大40cm) |
特徴 | 体は細長く、目が大きく光沢が強い |
食性 | 小魚、甲殻類、プランクトン |
生息環境 | 昼は深場、夜は表層に上がる「垂直移動性」 |
👁️ 特徴と見分け方
メアジの最大の特徴は、その名の通り大きな眼です。
この眼は暗い海でも光を捉えるために発達しており、
夜行性の魚として非常に優れた視覚を持っています。
一見するとマアジとよく似た見た目にも見えますが、
よく観察するとゼイゴ(側線上の硬い鱗)の上に、
一直線に伸びる美しい黄色のラインが見られます。
さらに、えらの下には小さな突起があり、これもメアジ特有の特徴です。
このラインが光を反射すると、
群れ全体がまるで夜の海を走る“光の帯”のように見えます。
🌊 生態と暮らし
メアジは昼と夜で異なる深さを移動する「垂直移動」を行う魚です。
昼間は水深100〜200mの暗い場所で群れを作り、
夜になると表層近くに上がってプランクトンや小魚を捕食します。
また、潮の流れに敏感で、黒潮や対馬暖流など暖かい海域を好みます。
そのため南日本では一年を通して見られますが、
水温が低い冬は深場に潜る傾向があります。
🍽️ 食文化と利用
メアジはマアジほど流通量が多くないものの、
沖縄・九州・伊豆諸島などでは食用として親しまれています。
脂がやや少なく、あっさりした味わいが特徴で、
塩焼き・刺身・干物として美味。
特に新鮮な個体は透明感のある身質で、
刺身にすると独特の甘みが感じられます。
漁港によってはムロアジと混獲されることも多く、
市場では「メルアジ」「メル」と呼ばれることもあります。
🔍 他のアジとの違いまとめ
比較項目 | マアジ | ムロアジ | メアジ |
---|---|---|---|
体型 | 丸みがある | 細長い | さらに細長くスマート |
体色 | 金〜銀色 | 青銀色 | 青みが強く光沢あり |
胸びれ | 短い | 長い | 長い |
特徴 | 脂がのる | 黒潮系で回遊性 | 目が大きく黄色のラインあり |
味わい | コクと脂 | あっさり | 淡白で上品 |
💬 ひとことメモ
メアジは「夜の海で光る魚」と呼ばれることもあります。
その瞳はまるで小さなライトのように光を反射し、
群れ全体がゆらめく姿は幻想的です。
釣りの世界では「夜釣りで釣れるアジ」として知られ、
夜行性ゆえに日中にはほとんど姿を見せません。
海の静けさの中に浮かぶメアジの群れ――
それは“夜の海のアジ”という名にふさわしい存在です。
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