🐢カメ13:リクガメ類 ― 陸の時間を生きる草食のカメたち

カメシリーズ

― 乾いた草原や低い灌木の影に、静かに歩く丸い甲羅がある。リクガメ類は、陸に特化して進化したカメの仲間だ。ゆっくりした歩み、頑丈な甲羅、太く力強い四肢――どれも地上で生きるために形づくられたもの。草や多肉植物をかじりながら、暑さと乾燥の強い土地で長い時間をかけて暮らしている。

この章では、リクガメ類の特徴・生態・食性・環境・主要な種類を整理し、“陸のカメ”としての独特の時間の流れを見つめる。

📘 基礎情報(Basic Data:リクガメ類)

  • 分類: カメ目 リクガメ科
  • 分布: アフリカ・アジア・ヨーロッパ・南北アメリカ(乾燥地に多い)
  • 体長: 20cm〜1m以上
  • 食性: 草・葉・果実・多肉植物
  • 寿命: 50〜100年以上の種が多い
  • 特徴: 丈夫な甲羅・太い四肢・陸上生活特化
  • 代表種: ホシガメ/ケヅメリクガメ/ギリシャリクガメ など

🐢目次

🏜 1. 特徴 ― 陸に特化した体のつくり

リクガメ類は、陸上生活に特化したカメで、淡水ガメやウミガメとは姿が大きく異なる。

  • 高く盛り上がった甲羅:乾燥から体を守る“ドーム型”
  • 太く強い四肢:砂地や岩場でもしっかり歩ける
  • 短い尾:地上での移動向き
  • 呼吸:地上の気温変化に合わせて行動調整

甲羅は熱をためにくい形状になっており、日陰と日向を行き来することで体温を保つ。

🌿 2. 生態 ― 草を食べ、乾燥に耐える暮らし

リクガメ類の生態は“乾燥への適応”が中心にある。

✔ 食性

  • 草・葉・果実を中心とする植物食
  • 多肉植物で水分を補給する種もいる
  • 低栄養の植物でも長く生きられる

✔ 行動

  • 日中の暑さを避け、朝夕に活動
  • 日陰・巣穴で休む時間が長い
  • 雨季には繁殖が活発になる

“動かない時間”が多いのは、乾燥と暑さの強い土地で省エネに生きるための戦略だ。

🏞 3. 分布と環境 ― 半砂漠・草原・低木地帯

リクガメ類は主に乾燥した地域に分布し、環境の違いに応じて独特の暮らしを持つ。

  • 半砂漠:暑さと乾燥に強いケヅメリクガメ
  • サバンナ:草食に適応した大型種
  • 地中海沿岸:季節の変化に対応するギリシャリクガメ

湿度が高い地域は苦手で、乾燥した環境こそが本来の暮らしの場となる。

🐢 4. 主な種類 ― ホシガメ・ケヅメ・ギリシャリクガメ

✔ インドホシガメ

  • 星のような模様が甲羅に広がる
  • 密林周辺のやや湿った草原に多い

✔ ケヅメリクガメ(アフリカの大型種)

  • 甲長80cmを超えることもある巨体
  • 乾燥地帯に適応、巣穴を掘って生活

✔ ギリシャリクガメ

  • ヨーロッパ地中海沿岸に分布
  • 気温の変化に強く、季節ごとに行動を調整

同じ“リクガメ”でも、地域ごとの環境によって姿や行動が大きく異なる。

🌙 詩的一行

乾いた土の上をゆっくり進む影は、静かな時間をそのまま形にしたようだった。

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