🐸 カエル11:ウシガエル ― 大きな声をもつ外来の影 ―

カエルシリーズ

― 静かな池にゆっくりと響く低い声。風に乗って遠くまで届くその鳴き声は、土地のカエルたちの音とはまったく違う重さをもっている。ウシガエルは北米原産の外来種で、日本の水辺に入り込みながら、在来の小さなカエルや生きものたちに大きな影響を与えてきた存在だ。

🐸目次

📘 基礎情報

  • 分類: アカガエル科(旧分類:アメリカアカガエル属)
  • 学名: Rana catesbeiana
  • 原産地: 北米
  • 体長: 約10〜18cm(大型)
  • 食性: 昆虫・魚・甲殻類・他のカエル・小動物
  • 繁殖期: 5〜8月/池や沼など広い止水域
  • 特徴: 非常に大きな声・巨大な体格・外来種としての影響

🐸 1. ウシガエルという存在

ウシガエルは、その名のとおり“牛のような声”で鳴く大型の外来カエル。日本には食用として持ち込まれ、逃げ出した個体が各地に定着した歴史をもつ。体が大きく、動きも力強いため、水辺の生態系に重い存在感を与えている。

成熟したオスの鳴き声は深く響き、夜の池で聞くとまるで別の世界の生きもののような印象さえある。

🪰 2. 生態と行動

ウシガエルは雑食性で、動くものを幅広く捕食する。小魚やエビ、他のカエルまで食べてしまうことがあり、在来種の減少につながる理由のひとつになっている。

  • 大型で泳ぎが得意
  • 夜行性が強く、夜の水辺でよく活動
  • 幼生期間が長く、大きなオタマジャクシになる

オタマジャクシも大型で、在来種への“場所の奪い合い”が起きることがある。

🌿 3. 環境と分布

池・沼・ため池など広い止水域に多い。水深があり、植物が多い場所を好むため、農地周辺のため池や都市部の公園の池にも姿を見せる。原産地では捕食者が多いが、日本では天敵が少なく、定着しやすい状況が続いてきた。

  • 日本各地の低地に広く分布
  • 水深がある池を好む
  • 都市部の池でもしばしば見られる

🔎 4. 観察と注意点

観察は夜の池がもっともわかりやすい。深い鳴き声をたどると成体に出会えることがある。ただし外来種であるため、誤って移動させたり、放流したりしてはいけない。撮影や観察は、あくまでその場で静かに行うのが望ましい。

  • 夜の池で鳴き声が手がかり
  • 大型なので動きも目立つ
  • 外来種ゆえの扱いに注意が必要

🌙 詩的一行

暗い水面に深く落ちる声が、静かな夜をゆっくり震わせていた。

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