― ソバの畑が黒く色づくころ、粒は風にふれるだけで落ちそうなほど熟していく。ソバの収穫は“いつ刈るか”がすべてで、早すぎても遅すぎても実の品質は大きく変わる。黒い三角の殻を傷めずに収穫し、乾燥させ、次の加工へつなげる作業には、昔から多くの工夫が積み重ねられてきた。
ここでは、収穫の適期、刈り取りの方法、伝統的な乾燥法、現代の乾燥設備の違い、品質を左右する条件を整理し、ソバが畑から食卓へ向かう最初の工程を見ていく。
🌾目次
- 🔪 1. 収穫の適期 ― 何割黒くなったら刈るか
- 🌾 2. 刈り取りの方法 ― 落粒を防ぐ工夫
- 🌬 3. 乾燥の基本 ― 風と時間で仕上げる
- 🔥 4. 機械乾燥と天日干し ― それぞれの特徴
- 🌙 詩的一行
🔪 1. 収穫の適期 ― 何割黒くなったら刈るか
ソバは成熟がそろいにくく、一つの株でも緑・茶・黒の粒が混在する。そのため「何割黒いか」が収穫判断の基準になる。
- 一般的な適期: 全体の70〜80%が黒褐色
- 早すぎ: 粒が痩せ、味が弱い
- 遅すぎ: 落粒(落ちてしまう粒)が増える
地域の気候や品種によっても違うが、“黒が増えすぎる前”に刈るのが鉄則だ。
🌾 2. 刈り取りの方法 ― 落粒を防ぐ工夫
ソバの実は乾き始めると非常に落ちやすく、刈り取りは慎重さが求められる。
- 朝露の時間帯: 粒が湿っていて落ちにくい
- 手刈り: 昔からの方法で、落粒が少ない
- コンバイン: 近年主流。スピードは速いが、調整が重要
刈った後は束にして立てかけ、乾燥場所へ運ぶ地域も多い。
🌬 3. 乾燥の基本 ― 風と時間で仕上げる
乾燥は品質を左右する最重要工程。水分が多いままだとカビや変質の原因になる。
- 理想の水分: 12〜15%程度
- 風通し: 株を寝かせず、風が抜ける状態がよい
- 時間: 天候により2〜7日ほどかける
ゆっくり乾かすほど、殻が締まり、実の風味が保たれる。
🔥 4. 機械乾燥と天日干し ― それぞれの特徴
現在は多くの産地で機械乾燥が使われるが、天日干しには独特の仕上がりがある。
- 機械乾燥: 均一・スピーディ・雨の影響なし
- 天日干し: 風味が深くなりやすいが、天候に左右される
- 組み合わせ: 途中まで天日→仕上げだけ機械 という方法も
どちらにしても、殻を割らずに乾かせるかどうかが品質の鍵になる。
🌙 詩的一行
黒い粒をそっと包むように、風はソバの季節を静かに整えていく。
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