🌿 チャノキ18:管理技術 ― 茶畑を整える手仕事

チャノキシリーズ

― 茶畑の形は、自然に任せれば生まれるものではない。剪定、整枝、施肥、更新。人の手が重ねた“整える技”が、茶の香りと品質の土台になっている ―

チャノキは多年生の作物で、数十年にわたって同じ株が育ち続ける。その長い時間を支えるのが、茶農家の整備の技だ。新芽の位置、枝の流れ、栄養の巡り――畑全体を読みながら、毎年の姿を作り直していく。

🌿目次

✂️ 1. 剪定の基礎 ― 茶樹の“形”をつくる作業

剪定は茶畑の管理の中でも最も重要な技術だ。枝の向きや長さを整えることで、新芽の位置と品質が決まる。

  • 古い枝を切り、若い枝に更新する
  • 枝の重なりを避け、光を均一に当てる
  • 株の高さをそろえ、摘採しやすい面を作る

一本の枝ではなく、“株全体の流れ”を見るのが茶農家の目だ。

🌱 2. 整枝と棚づくり ― 芽をそろえ、光を均一にする

整枝とは、芽が出る面を均一にする作業で、摘採のしやすさと品質に直結する。

  • 新芽のそろう「棚面」を作る
  • 葉の重なりをほどき、光を通す
  • 摘採機が入るためのラインを整える

整枝は“茶畑の水平を作る作業”とも言える。

🧪 3. 施肥と土づくり ― 栄養を整える年中仕事

チャノキは浅根性のため、土の栄養状態がそのまま芽の質に出る。施肥も茶農家の判断が問われる仕事だ。

  • 春の芽出し肥 → 一番茶の品質を左右
  • 夏の回復肥 → 二番・三番茶への準備
  • 秋冬の基肥 → 株の体力を整える

施肥は“量”ではなく、“時期”が味を決める技だ。

🔄 4. 更新と更新茶園 ― 古い株を若返らせる技

古くなった茶樹は、茶の量も質も落ちてくる。そこで茶農家は“更新”という若返りの作業を行う。

  • 枝を思い切って切り戻す「中更け」
  • 株元から新しい芽を育て直す「台切り」
  • 古い株を入れ替える「更新茶園」

更新は畑の未来をつくる判断でもある。

📅 5. 年間管理の流れ ― 茶畑を育てる一年のリズム

茶畑の管理は、一年を通して循環する作業だ。

  • 冬 → 剪定と整枝で畑を作り直す
  • 春 → 芽の生育を見守り、施肥と見回り
  • 夏 → 葉の疲れを抜き、株を整える
  • 秋 → 冬芽を育て、株の体力を調整

茶畑は“季節のリズムでつくる風景”でもある。

🌙 詩的一行

一年の手入れのすべてが、新茶のひと口に静かに宿っていく。

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