― 一枚の葉の中には、渋みも旨味も香りも、すべてが静かに折り重なっている ―
お茶の味や香りは、外から加えるものではない。 チャノキの葉の内部に、もともと“素材”として存在している。 発酵の度合い、蒸し方、火入れ──どんな製茶工程も、この素材をどう開かせるかの違いにすぎない。
🌿目次
- 🧪 茶葉の内部には何がある? ― 4つの主要成分
- 🍵 テアニンと香り ― 春の旨味の源
- 🌿 カテキン ― 渋み・爽やかさの正体
- 🌬 香気成分 ― 火入れで立ち上がる香り
- ☀️ カフェイン ― 目覚めと苦味をつくる成分
- 🌱 成分は季節で変わる ― 春・夏・秋のちがい
- 🌙 詩的一行
🧪 茶葉の内部には何がある? ― 4つの主要成分
チャノキの葉の内部には、茶の味と香りを決める4つの主要成分がある。
- テアニン:旨味・甘み
- カテキン:渋み・爽やかさ
- 香気前駆物質:火入れで立ち上がる香りの素材
- カフェイン:苦味・刺激
これらのバランスが、 緑茶・烏龍茶・紅茶の違いを生み、 さらに産地や季節の個性を形づくる。
🍵 テアニンと香り ― 春の旨味の源
テアニンは、谷間で育つような柔らかい新芽に多い成分。 一番茶が甘く、まろやかなのは、このテアニンが豊富だから。
- テアニン → 甘み・旨味
- 芽の柔らかさで含有量が変わる
- 日光に当たるとカテキンへ変化していく
つまり「旨味の強いお茶」は、 “光が強すぎない環境で育った新芽”の結果でもある。
🌿 カテキン ― 渋み・爽やかさの正体
カテキンは光のストレスに反応して増える成分。 夏に摘まれた葉が渋みを持つのは、このカテキンが多いためだ。
- 光が強い → カテキン増加 → 渋みUP
- 抗酸化作用・爽やかさの元
- 発酵させると風味がまろやかになる
緑茶のキリッとした味の核は、このカテキンにある。
🌬 香気成分 ― 火入れで立ち上がる香り
香りを決めるのは香気前駆物質。 これは葉の内部に静かに蓄えられていて、 火入れ(焙煎)や発酵で一気に香りとして立ち上がる。
- 青々しい「青葉香」
- 甘い「火香」
- 軽やかなフローラル香
- ウーロン茶・紅茶特有の香り
つまり香りの違いは、 「外から香りを加える」のではなく、 もともと葉の中に潜んでいた香りを開く」ということ。
☀️ カフェイン ― 目覚めと苦味をつくる成分
カフェインは新芽に多い成分で、苦味と軽い刺激の元。 紅茶や抹茶にカフェインが多いのは、新芽を多く使うからでもある。
- 苦味のアクセント
- 覚醒作用
- 発酵・火入れで印象が変わる
カフェインは味を引き締める“陰の立役者”。
🌱 成分は季節で変わる ― 春・夏・秋のちがい
茶葉の内部成分は、季節で驚くほど変わる。
- 春(新芽):テアニン多 → 旨味強い
- 夏(二番茶):カテキン増 → 渋み強い
- 秋(秋芽):香気成分バランス良い・穏やか
茶の季節ごとの味わいは、こうした成分変化そのものだ。
🌙 詩的一行
葉の奥に眠る香りの素材が、季節と火を受けてそっと目を覚ます。
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