🕊️ トンボ9:シオカラトンボ ― 水辺の青い影 ―

トンボシリーズ

夏の水辺を歩いていると、
青白い影が素早く飛び立つことがある。
陽を受けると粉をふいたように見える体、
まっすぐ伸びる尾、軽やかに揺れる翅。

それがシオカラトンボ
日本の水辺で最もよく見られる、身近なトンボだ。

■基礎情報(シオカラトンボ)
・分類:トンボ目 トンボ科 シオカラトンボ属
・学名:Orthetrum albistylum
・分布:日本各地(北海道〜沖縄)
・体長:約4.5〜5.5cm
・主な生息環境:池、沼、田んぼ、水路、都市部の公園の水辺
・成虫の出現期:初夏〜秋


🕊️ 目次


🧂 姿と色 ― オスは青白、メスは麦わら色

シオカラトンボのオスは、粉をまとったような青白い体が特徴。
成熟すると腹部が白っぽくなり、「塩をふいた」ように見えることから名前がついた。

メスは黄色と黒の縞模様で、
その色が麦わらに似ていることから「ムギワラトンボ」と呼ばれる。
同じ種でも、季節と性によって印象が大きく変わる。


🌊 飛び方と性質 ― 活発で、時に大胆

シオカラトンボは活動的な性質を持ち、
水辺の上を大きな弧を描くように巡回する。
縄張り意識が強く、他のトンボが近づくと勢いよく追い払うことも多い。

一方で、休むときは草の先や石の上など、
風を避けられる場所にとまることが多い。
動と静の差がはっきりしたトンボだ。


🏞️ 暮らす場所 ― 日本中の水辺にいる理由

池、沼、田んぼ、水路、公園の池──。
シオカラトンボは全国どこでも見られる。
環境への適応力が高く、多少の水質変化にも強いからだ。

とくに里山や田んぼの風景にはよく溶け込み、
ヤゴが隠れる場所も多いため、繁殖しやすい環境が広がっている。


🥚 産卵と生活史 ― 水面をたたくように産みつける

シオカラトンボのメスは、
水面を「ポン」と叩くようにして卵をばらまく。
これが独特の産卵方法で、水草や泥に自然に沈む形で発生が進む。

ヤゴは泥の中でじっと身を潜めながら成長し、
初夏から盛夏にかけて羽化する。
その周期が、水辺の季節に小さなリズムを与えている。


🌙 詩的一行

青い影は、水辺の光をそっと拾いながらめぐっていた。


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