卵を産まないカエル ― タンザニア山地で見つかった“ミニガエル”の誕生(2025年11月)

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アフリカ・タンザニア東部の山あいで、
奇妙なカエルが見つかった。
彼らは卵を産まず、オタマジャクシもいない。
母親の体から、すでに“カエルの姿”で生まれてくる。

発見されたのは、Nectophrynoides 属に属する3種のヒキガエル。
新たに報告されたのは N. saliensisN. luhomeroensisN. uhehe の3種。
いずれも標高1,500〜2,000mの湿潤な森林で確認された。

通常のカエルは、卵 → オタマジャクシ → 成体という段階を経る。
だが、この属の一部は進化の過程で
“胎生(たいせい)”を選んだ。
母体の中で受精し、ミニサイズのカエルとして生まれる。
地上での水場が限られた山岳環境に適応した結果だという。

研究チームは、DNA解析と発声パターンの比較から、
これまで一種とされていた個体群が複数の種に分かれることを確認。
それぞれがごく狭い地域にしか生息していないことも判明した。
“山の上の孤島”で、進化が細やかに枝分かれしているのだ。

母の体の中で育ち、カエルとして生まれる命。
その不思議な生き方は、
環境の厳しさと多様性の豊かさを、同時に語っている。

🌏 せいかつ生き物図鑑・世界編
― 変わりゆく地球を見つめる観察記 ―

出典:Zootaxa Vol.5719(2025年11月)/University of Dar es Salaam/Global Amphibian Research Group

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