🐟ブリ9:海を渡る命 ― 青物たちの記憶 ―

ブリシリーズ

― 海は記憶している ―

ブリ、ヒラマサ、カンパチ、ツムブリ。
それぞれが違う海を泳ぎながらも、 ひとつの潮の記憶を共有している。
海を渡るたび、季節を巡るたび、 彼らは“命の道”を描いているのだ。
その線の上に、人もまた生きている。


🌾目次


🌊 海を渡る記憶 ― 回遊という生き方

青物たちは、海を回遊しながら季節をつなぐ。
ブリは北へ、ヒラマサは南へ、ツムブリはさらに外洋へ。
その動きはまるで、地球そのものが呼吸しているようだ。
潮の温度、光の角度、風の匂い―― 海の変化を読む力が、彼らの生き方のすべてである。

回遊とは、ただ移動することではない。
生まれた海へ戻り、また旅立つ循環の記憶。
その旅路に、命のリズムがある。
青物たちは、海を渡りながら地球の季節を刻んでいる。


🌍 人と魚の境界 ― 同じ海を生きる

漁師の手に触れる魚。市場で輝く魚。食卓で静かに横たわる魚。
どの瞬間も、同じ海の命である。
人は魚を獲り、食べ、祈り、そしてまた海へ還す。
海と魚と人とのあいだにあるのは、奪い合いではなく、循環だ。

ブリという名の魚は、ただの食材ではなく、 海と人をつなぐ“記憶のかけら”である。
魚を見つめることは、自分たちの生き方を見つめ直すことなのだ。


🍴 青物たちの未来 ― 変わる海と命の道

近年、海水温の上昇や潮流の変化によって、 ブリの分布は北へと広がっている。
かつて見られなかった北海道沿岸にも群れが現れ、 新たな“寒ブリの海”が生まれつつある。
魚は変化に適応し、人もまたその変化とともに生きていく。

海は今も動いている。 そして、その中で命は絶えず渡り続ける。
ブリという魚が教えてくれるのは、 「変わりながら生きる」という、海の智慧そのものなのかもしれない。


🌙 詩的一行

海は、命の記憶を運び続けている。


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