🐟ブリ1:青物という存在 ― 光を追う群れ ―

ブリシリーズ

― 海を渡る銀の命 ―

潮が動くたびに、彼らも動く。
海の流れを読み、光を追い、群れは季節を渡っていく。
ブリ、ヒラマサ、カンパチ、ツムブリ――それらを人は「青物」と呼ぶ。
同じ海を泳ぎながら、少しずつ違う生き方を持つ魚たち。
その群れは、海の時間そのものを形にしている。


🌾目次


🌊 海を渡る群れ ― 潮と季節の旅

青物の群れは、黒潮や対馬暖流の流れに沿って季節を移動する。
春に南で生まれた命が、夏に北へ、冬に再び南へと帰る。
その旅は終わりのない円を描き、海を呼吸させる。
潮の向き、水温、光の角度――すべてを感じとりながら、彼らは進む。
海そのものが意思を持って動いているように見える。


🌍 光の体 ― 流線と生命の設計

彼らの体は、流れの中で生きるための形だ。
細く長い体に強い尾びれ、銀色の光沢は海の鏡。
光を反射して敵から身を隠し、同時に海の色を写す。
筋肉は赤と白に分かれ、速さと持久力を併せ持つ。
その体は、海とともに設計された“動く光”である。


🍴 人と青物 ― 海を分かち合う暮らし

青物は、古くから人の暮らしの中にいた。
沿岸の町では、回遊の季節を知ることで漁の暦を立てた。
ブリは祝いの魚、ヒラマサは夏の恵み、カンパチは南の贈り物。
同じ海を渡る魚たちが、それぞれの土地で違う名を持ち、
人々はその味に季節の記憶を重ねてきた。


🌙 詩的一行

潮を感じ、光を追い、海をわたる。


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