🐟サバ15：海と気候 ― 水温が変える命 ―

― 水温が変える命 ―

海は静かに見えて、常に変化している。
気温が上がり、水温がゆるやかに上昇するたび、
サバの群れの道は少しずつ北へずれていく。
その変化は、海の記憶の書き換えでもあった。

🌾目次

近年、地球温暖化の影響で海水温が上昇している。
サバの群れは、かつては九州・四国中心だったが、
今では北海道沿岸まで回遊するようになった。
海の温度がわずかに変わるだけで、生き物たちの地図は塗り替えられる。

漁師たちは変化を肌で感じている。
「昔はこの沖に群れがいたのに、今は北の方だ」――。
海の温度が1℃上がるだけで、魚の群れは数百キロ動く。
その海図のずれが、暮らしの形をも変えていく。

変わるのは魚だけではない。
人もまた、新しい海と生き方を模索している。
漁の時期をずらし、地域で協力し、海を守る技を受け継ぐ。
未来の海は、自然と人が共に変化を受け入れる場所になる。

海が変わるたびに、命の道も描き直される。