🐟マグロ1:マグロという存在

マグロシリーズ

― 海を走る影 ―

水平線の向こうを、黒い影が疾走する。
マグロ――海の王者と呼ばれる魚。
その姿は力強く、どこか神話の生き物のようでもある。
冷たい海を切り裂き、数千キロを泳ぎ続けるその体には、
“動くために生まれた”という必然が宿っている。


🌾目次


🌱 姿 ― 流線形の意味

マグロの体は、まるで矢のような流線形をしている。
背は深く、腹は鋭く絞られ、尾びれは三日月の形。
この形が生むのは、速度と持久力。
水を切り裂くための究極のデザインだ。
鱗は細かく埋め込まれ、光を反射して銀色に輝く。
それは、海そのものに溶けるための鎧でもある。


🌿 速さ ― 回遊魚の筋肉

マグロは時速70kmで泳ぐといわれる。
その秘密は、体のほとんどを占める赤い筋肉。
酸素を豊富に含むこの筋肉は、
長距離を泳ぐためのエンジンのようなもの。
泳ぎを止めることは死を意味する。
常に動き続けることで、海の中に生きる場所を作っている。


🔥 温度 ― 体を温める魚

多くの魚は体温が海水と同じだが、
マグロは自分の体を温めることができる。
血管の中に“逆流熱交換”の仕組みを持ち、
筋肉の熱を体の中心に戻す。
冷たい海でも動きを失わないための知恵。
その能力は、魚という枠を超えた進化の証だ。


🌊 生き方 ― 海を渡る旅人

マグロは群れをなし、季節ごとに海を渡る。
太平洋、大西洋、インド洋――
どの海にも彼らの軌跡がある。
産卵のため、食を求めるため、海を越える。
その旅路の先で、潮の変化と光を読みながら、
彼らは世界をめぐる命の環の一部となっている。


🌙 詩的一行

海を走る影、それは青い惑星の鼓動そのもの。


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