🌰栗12:木材としての栗

クリシリーズ

― 森の恵みのかたち ―

栗の木は、実だけでなく、その材もまた人の暮らしを支えてきた。
水に強く、腐りにくい性質は、家を守り、道をつくり、舟を浮かべた。
一本の木の中には、食と住、どちらの命の記憶も流れている。


🌾目次


🌱 木の特徴 ― 水をはじく強さ

栗の材は導管の内側にタンニンを多く含み、腐りにくい。
湿気を含んでも劣化しにくく、水辺や地中でも長く耐える。
強靭さとしなやかさを併せ持ち、古くから建築や橋材に重宝された。
それは、森の中で雨や風に耐えてきた生命力そのものだ。


🌿 用途 ― 家と道を支える木

日本では柱や土台、柵や杭などに広く使われてきた。
かつての農家では、家の骨格に栗を使うことで何世代も耐えた。
線路の枕木にも利用され、その強さが人の移動を支えてきた。
栗の木は、森の静けさをそのまま人の暮らしに連れてきた。


🔥 時を経る ― 木が語る記憶

長い年月を経た栗材は、深い褐色を帯び、年輪に森の時間を宿す。
削ると香りが立ち、触れると温もりを感じる。
それは命を使い切った木の、静かな語りのようでもある。
木材になってもなお、森の記憶を伝え続ける存在だ。


🌙 詩的一行

木の中にも、森の呼吸が残っている。


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