リス8：冬を越すということ ― 雪の下の静けさ ―

雪が積もると、森は音を失う。
枝の上も地面も、白く閉ざされた世界。
それでも、リスはその中で生き続ける。
巣の中で体を丸め、時おり外に出ては、
秋に埋めた木の実を探し出す。

リスは完全な冬眠をしない。
気温が高い日や穏やかな日に外に出て、
秋に埋めた木の実を掘り出して食べる。
活動時間は短く、巣で休む時間が長い。
巣内では体を丸め、体温を保ち、呼吸をゆっくりと整える。

冬毛は厚く密度が高くなる。
特に尾の毛が長くなり、体を覆うようにして保温する。
脂肪を蓄え、代謝を抑えることでエネルギーを節約する。
寒さに耐える力は、森の季節に合わせて進化してきたものだ。

雪は森の表面を覆う断熱材。
その下の空間には、リスや他の小動物の通り道がある。
雪が深くても、巣と食料をつなぐ通路は保たれている。
雪の森は、静けさの中に多くの命を隠している。

雪の静けさは、生きる音を包んでいる。