本州・四国の森に暮らす在来の樹上性リス、ニホンリス。
枝上生活に適応した体と大きな尾、季節ごとの採食と貯食。
森の更新(種子散布)にも関わる、小さなキーストーンの一種だ。
📚 基礎情報
- 分類:哺乳綱 齧歯目 リス科 リス属
- 和名:ニホンリス / 学名:Sciurus lis
- 分布:本州・四国(九州は歴史的分布あり・現在は局所的消失地域が多いとされる)
- 生息環境:落葉広葉樹林・混交林・社叢林・都市近郊の大きな樹木帯
- 体長・体重:体長およそ20–25cm/尾長約15–20cm/体重数百g台(成体)(地域差あり)
- 形態特徴:冬季に耳の房毛が発達/尾は体温保持・バランス・合図に機能
- 食性:堅果(ドングリ・クルミ等)、種子、果実、若芽、キノコ等
- 繁殖:年1–2回、数頭の仔を出産(地域差・年変動あり)
- 活動:昼行性。朝夕に活発/冬眠はせず活動量が低下
- 役割:貯食・埋蔵に伴う種子散布(埋め忘れの発芽)
- 保全・脅威:生息地改変・道路事故・外来タイワンリスとの競合などで地域的減少
- 観察のヒント:朝夕の枝移動・食痕(殻のかじり跡)・樹洞や巣材の運搬に注目
目次
🌿 外見と特徴
🌾 暮らしと季節の行動
🍃 森との関わり
🌙 詩的一行
🌿 外見と特徴
体色は灰褐色〜赤褐色で腹側は淡色。冬は耳の房毛が目立つ。
大きく柔軟な尾は、跳躍時の舵・体温保持・シグナルの役割を担う。
指は5本、鋭い鉤爪で樹皮を確実に掴む。
🌾 暮らしと季節の行動
朝夕に活動が高まり、日中は樹上で休む。
秋は堅果を集め土中へ埋蔵、冬は活動量を落として巣で過ごす(完全な冬眠はしない)。
春は巣の補修・育仔、夏は果実や若芽・キノコなどを広く採食する。
🍃 森との関わり
埋蔵した堅果の一部は忘れ去られ、翌年に発芽して更新を助ける。
社叢林や里山の小さな林でも、連続した高木帯があれば定着する。
一方で分断・外来種との競合は地域的な減少要因となる。
🌙 詩的一行
ニホンリスは、森の記憶を運ぶ小さな旅人。
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