🌳コナラ8:若木と老木

コナラシリーズ

― 森の世代をつなぐ ―

森の中では、すべての世代が同じ時間を生きている。
若い木は老木の影で育ち、老木は若木のために場所を譲る。
森はいつも、ゆっくりと交代しながら続いていく。


🌱 若木の光

コナラの若木は、まだ弱々しい。
陽の当たる場所を求め、枝の隙間を縫って葉を広げる。
落葉樹の森では、光こそが成長の鍵。
老木の葉が散る冬の間、
若木はその一瞬の光を浴びて、根を張る力を蓄える。

小さな幹が曲がっているのは、
光を探して何度も方向を変えた証。
森の中で真っすぐに育つ木など、ほとんどいない。


🌳 老木の影

老木の根は広く、地中深くに水を引く。
その周りの土は乾きにくく、若木が根を伸ばしやすい。
老木がつくる陰は、ただの影ではない。
苔を守り、土をやわらかく保つ、森の温度の調整装置だ。

朽ち始めた幹には虫が住み、
その虫を食べに鳥がやってくる。
老木は死の途中で、次の命を支える。


🍂 森の交代

一本の木が倒れると、
そこに光の道ができる。
その隙間に、若い木々が一斉に芽吹く。
森は静かな崩壊と誕生をくり返しながら、
常に同じ姿を保とうとする。

老木が去り、若木が立ち、
またその若木が老木になる。
その連鎖が森の歴史であり、
一度も途切れたことのない記憶だ。


🌙 詩的一行

森は、入れ替わりながら同じ形を保つ。


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