🪸 基本情報
アジは、昔から「日本人の健康を支える魚」と言われてきました。
その理由は、豊富な栄養バランスにあります。
DHA・EPA・たんぱく質・ビタミン・ミネラル――
小さな体の中に、現代人に必要な成分がぎゅっと詰まっているのです。
ここでは、アジの栄養を科学的に見ながら、日々の食卓に活かすヒントを紹介します。
⚗️ 1. DHAとEPA ― 脳と血液を守る海のオイル
アジの脂には、**DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)**が豊富に含まれています。
これらは青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸で、
血液をサラサラにし、脳の働きを助けることで知られています。
✅ 効果まとめ
成分 | 主な働き |
---|---|
DHA | 記憶力・集中力の維持、脳の神経細胞の活性化 |
EPA | 血中コレステロールの低下、動脈硬化予防、抗炎症作用 |
DHA・EPAは体内でほとんど作れないため、食べて摂ることが必要です。
1日1匹のアジを食べるだけで、約600mg前後のDHA・EPAを摂取できます。
🍖 2. 高たんぱく・低脂肪 ― ダイエットにも理想的
アジ100gあたりには、約20gのたんぱく質が含まれています。
これは鶏むね肉とほぼ同じ量。
しかも脂質は10g前後と控えめで、良質なたんぱく源として理想的です。
栄養素 | 含有量(100gあたり) |
---|---|
エネルギー | 約120kcal |
たんぱく質 | 約20g |
脂質 | 約10g |
カルシウム | 約30mg |
ビタミンB12 | 約7µg |
アジのたんぱく質は消化吸収率が高く、
筋肉の維持や新陳代謝にも効果的。
子どもや高齢者にもやさしい“体に残る栄養”です。
🥗 3. ビタミン・ミネラル ― 小さな魚の総合栄養食
アジはビタミンB群、特にビタミンB12が豊富。
これは赤血球を作り、疲労回復を助ける栄養素です。
また、カルシウム・鉄・亜鉛などのミネラルも含まれ、
「魚の中でも最もバランスが良い」と栄養士から評価されています。
さらに、皮の部分にはタウリンが多く、
肝臓の働きを助け、疲れにくい体づくりをサポートします。
焼き魚や煮付けで皮まで食べることで、その効果をしっかり得られます。
🧩 4. 加熱と栄養の関係 ― 調理で変わる健康効果
DHA・EPAは熱に弱いと言われますが、
焼き魚や煮付けでも6〜8割は残るとされています。
特に、皮ごと焼くと脂が逃げにくく、
魚の旨みと栄養をそのまま楽しめます。
また、アジフライなどの油調理でも、
油に溶け出したDHA・EPAを衣が吸収するため、
意外と栄養価は高く保たれます。
つまり、“どんな調理でも健康に良い”のがアジの強みです。
💬 5. 医学的に見た「青魚効果」
最近の研究では、アジを含む青魚を週2〜3回食べる人は、
- 心筋梗塞・脳梗塞のリスクが約20〜30%減少
- 記憶力の維持に有意差あり
というデータが報告されています。
さらに、EPAには“幸福ホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌を助ける作用があり、
ストレス軽減や気分安定にも良い影響を与えるとされています。
🌅 まとめ ― 小さな魚がくれる大きな力
アジは、ただの庶民の魚ではありません。
それは健康を支える小さなサプリメントのような存在。
海の恵みが詰まった一匹が、
体と心のバランスを整えてくれるのです。
旬の時期に新鮮なアジを食べる――
それだけで、自然と健康のリズムを取り戻せる。
これこそが、“海と生きる知恵”の一つなのかもしれません。
次回は「鯵28:鯵をめぐる迷信とことわざ ― 『鯵の南蛮漬けで夫婦円満』?」で、
言葉の中に息づく“暮らしの知恵”をたどっていきます。
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