🍄きのこ19:土に還る毒 ― 森が毒を食べる

毒もまた、森の食べもの。


分類:生態・分解・循環
対象種例:ツキヨタケ、ドクツルタケ、カエンタケ ほか
分布:日本各地の落葉樹林、腐植土の豊かな森
関連分野:生態学、分解学、土壌生物学
主要モチーフ:循環・浄化・毒の転化
扱い:自然の循環・毒の無害化・生態的均衡


毒きのこが枯れ、
やがて朽ちていくと、
その毒もまた、森に溶けていく。

アマニチンもムシモールも、
時間と微生物の手によって分解され、
やがて土の栄養になる。
森は毒を拒まない。
森は毒を食べる。


🌿 分解という赦し

森では、死は終わりではない。
死は「食べられること」。
どんなに危険な毒も、
菌類やバクテリアによって分解され、
別の命へと受け渡される。

森は毒を咎めず、
ただ“形を変えて返す”。
それが、自然の赦し方だ。


🌲 毒の再利用

毒は、他の命を守る壁として機能したあと、
そのまま森の中で再び循環する。
毒を分解する微生物、
その微生物を食べる虫、
虫を食べる鳥。

毒の連鎖はやがて、
生命の連鎖の一部になる。
森の秩序は、毒をも包み込むようにできている。


🕯 人がまだ知らないこと

人は「毒=悪」と呼ぶ。
けれど森にとっては、
毒もまた“必要な役割”のひとつ。

森には、“悪”という概念がない。
ただ、必要と不要のあいだを流れる秩序があるだけだ。
そして森は、
毒を食べるたびに静かに整っていく。


✨詩的一行

森は毒を嫌わない。
それもまた、命の味だから。

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