白は、すべてを拒み、すべてを許す。
分類:担子菌類 ハラタケ目 テングタケ科
学名:Amanita verna
分布:日本各地(落葉広葉樹林に多い)
発生時期:春〜秋
大きさ:傘径5〜10cm前後
毒性:猛毒(肝臓・腎臓障害・致死性)
主な毒成分:アマニチン、ファロイジン
食用/毒性:毒(致死性・極めて危険)
森の朝、霧の中に立つ白い影。
それは花ではなく、
シロタマゴテングタケの傘。
陽の光を受けても眩しく、
影に入ってもなお白く見える。
その白さは、
「生」と「死」のあいだにある色だ。
🌫 白という警告
白は清浄を意味する――だが、森では違う。
森の白は“拒絶”の色。
触れるな、近づくな、食べるな。
シロタマゴテングタケは、
ベニテングタケのように目立たない。
だがその沈黙は、
ベニテングタケの赤よりも強い。
それは森の“最終警告”。
自然が人に向けて立てる最後の壁だ。
🩸 神聖なる毒
このきのこの毒は、
肝臓や腎臓を静かに壊していく。
一度体に入れば、
助からないことも多い。
だがその作用は、異様なほど“秩序立っている”。
まるで森が、
体内の時間を正確に計りながら
死を進めていくかのようだ。
その精密さこそ、
神聖と呼ぶべき恐ろしさ。
🌕 神と毒
古代の信仰では、
この白いきのこは“森の神の姿”とされた。
誰も手を触れず、
その周りだけを静かに避けて通った。
毒とは、
人が神に近づこうとしたときに現れる“境界”。
そしてこの白は、
その境界そのものの象徴なのだ。
✨詩的一行
白は、森の祈りの形。
命を拒むことで、世界を保つ。

コメント