🦗鈴虫16:夜を照らす音 ― 音が心に灯るとき

スズムシシリーズ

― 闇の中のあかり ―


🗂目次


🌙闇と音

秋の夜は、光よりも音が先に届く。
街灯のない道でも、鈴虫の声があれば、
そこに“世界”があることが分かる。

暗闇は不安を連れてくる。
けれどその中で響く声は、
小さくても確かな存在の証。

それは、見えない光。


🕯灯りのような声

鈴虫の音は、聴く人の心を静める。
それは慰めでもあり、祈りでもある。

病室の窓の外で鳴く声を聴いて、
涙を流したという人がいる。
失った人を思いながら、
音の中に温もりを見出す人もいる。

鳴く虫の声は、
心の奥に火をともすように響く。


🍃心を照らすもの

灯りとは、明るさだけではない。
闇を受け入れたうえで生まれる静かな温度。

鈴虫の声もそうだ。
悲しみの中にも、優しさを残す。
消えそうで消えない音が、
人の心の形をやわらかくする。


💫夜の奥にある静けさ

夜が深くなり、
音がひとつ、またひとつ減っていく。

それでも最後に残る声がある。
闇の奥から届く微かな響き。

それは希望の音かもしれない。
静けさの中で灯る小さなあかり。

人はそれを“秋の声”と呼んできた。


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