🦗鈴虫15:機械の音と自然の声 ― 現代の“耳”を問う

スズムシシリーズ

― どんな音に囲まれて生きているか ―


🗂目次


🔊音の飽和

現代の世界は、
音で満ちすぎている。

目覚ましの電子音、エアコンの唸り、
店内のBGM、通知の効果音。
静けさがどこにもない。

けれど不思議なことに、
音が多いほど、人は“聴かなくなる”。
ただ通り過ぎるだけの音が、
心に届くことは少ない。


📱機械のリズム

機械の音は、
正確で、無感情で、終わらない。

それに慣れすぎた耳は、
自然の“揺らぎ”を感じにくくなる。

鈴虫の声には、
その揺らぎがある。
少しずつ速さが変わり、
風で途切れ、また始まる。

その不完全さが、
生きている音の証だ。


🍃自然の声

自然の音は、誰かが作るものではない。
その場の空気と温度が、音を生む。

鈴虫の声は、夜の湿度と風の強さで変わる。
同じ“リーン”でも、
昨日と今日は違う。

機械の音にはない一回性。
それが、聴く人の心を動かす。


🌙聴くという行為

耳を澄ますとは、
世界のリズムに触れることだ。

機械の音に慣れた現代の人にとって、
それは“取り戻すべき感覚”かもしれない。

鈴虫の声は、
自然の中で鳴っているだけではない。
私たちがまだ聴こうとする限り、
どこででも響ける。


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